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    COLUMN

変圧器の仕組み ①

2022-09-01
はじめに
こんにちは。
すこーしずつ夏の終わりを感じさせる日が出てきましたね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今回は、変圧器の仕組みについて解説していこうと思います。

お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、前編の「電気が届く仕組み」についてお話したのは去年の6月ということで、すでに1年以上が過ぎてしまっています……。
楽しみにしてくださっていた方、お待たせしてしまってすみません。

早速本題に入っていきます。

まずは前回のおさらいをしていきましょう。

私たちが普段家庭で使用している電圧は何Vでしょうか?




これは少し簡単でしたね。
答えは100Vです。

1~2万Vで生まれた電圧は、27.5万V~50万Vという高い電圧で送り出され、各変電所で低電圧に変換されながら、最後は変圧器で100Vに変換され家庭に届きます。
(工場などでは200Vで届きます)

この図に見覚えはありますか?
そもそも変圧器とは?
変圧器はその名の通り、電磁誘導を利用して交流電力の電圧を変換する機器です。

より具体的に言うと、変電所から送られてきた6,600Vの電気を、家庭用に100V(200V)に変換する装置です。
発電所で作られ電線を通ってくる電気は、非常に電圧が高いため、そのままの状態で家庭/ビルで使うことはできません。

そこで出番となるのが変圧器です。

各施設の目的や用途に合わせて電圧を変えることで、私達は安全に、そして安定的に電気を使用することができます。
1歩建物の外に出ると、このように街のいたるところで変圧器を確認することができます。

私達の身近な場所にあるこれらは、柱上変圧器(ちゅうじょうへんあつき:ポールトランス)と呼ばれ、写真のように電柱に取り付けられています。

意識すると、会社やご自宅を出てすぐに目についたり、「あれ、こんなに大きいの?」と驚くかもしれません。

実は身近な場所に数多くあるのに、意識しないと全く気付かない変圧器。

それでは変圧器の仕組みを見てみましょう。
変圧器の構造
今回は最も一般的な柱上変圧器を例に説明していきます。
柱上変圧器は、ほとんどが図のような円柱型や四角柱型をしています。

外側は低圧ブッシング・高圧ブッシング・放熱フィンなどから構成され、フタを開けた中には絶縁処理されたコイルや鉄心があり、これらは絶縁油で満たされています。



変圧器の外側についている「ブッシング」とよばれるパーツは、安全に電気を送るために取り付けられているものです。

機器そのものを支えたり、外部の電線と変圧器を絶縁するという役割を果たしています。
これらは変圧器の2面についており、それぞれ「高圧ブッシング」、「低圧ブッシング」と呼ばれています。

放熱フィンはその名前の通り、変圧器で発生した熱を逃がす役割を持っています。
最近ではこの放熱フィンがついていない、つるっとした表面の変圧器も多いです。


「50」というのは容量表示で、この場合は50kVA(キロ・ボルトアンペア)を指します。

kVAという単位に、あまり聞き覚えがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

1km=1000mであるのと同じで、1kVAは1000VAです。
上記の式に倣うと、この図では50000VA÷100V=500Aとなります。
一般家庭の契約アンペアは、40Aと言われています。

したがってこの50kVAの容量でまかなえるのは、理論上12~13軒ということになります。

ちなみに、この柱上変圧器の重さは、最大で400Kgを超えます。



(来週に続きます)





エンジンの基本サイクル

2022-05-16

こんにちは。

皆さまいかがお過ごしですか。


5月といえば、連休明けの5月病が話題に上がることも多い時期です。

サクッと読んでいただけるよう、今回は短めのコラムになっていますので、ぜひ気分転換に読んでみてくださいね。

エンジンの基本サイクル

エンジンはどのように動いているのでしょうか。


なんとなく勉強した記憶が…という方もいらっしゃるかもしれませんが、

今回はこの、4ストロークエンジン(4サイクルエンジン)について説明していきます。

上記の図の通り、エンジンは吸気・圧縮・燃焼・排気の4つの工程で動いています。


この4工程の間に、2回ピストンが往復(下降・上昇・下降・上昇)することから「4ストローク」と呼ばれます。


 ※4工程のため4ストロークと呼ばれているわけではありません

・吸気バルブが開き、シリンダー(燃焼室)内に混合気が吸入されると、ピストンが下降し始めます。

・吸入が終わる下死点(ピストンの最下点)付近で吸気バルブが閉じます。密封状態になった燃焼室でピストンが上昇することにより、混合気が圧縮されます。

・圧縮された混合気を点火させ、燃焼させます。この燃焼の勢いで、ピストンは再び押し下がります。ちなみに、この燃焼時は吸気バルブも排気バルブも完全に閉まっています。

・ピストンが上昇しはじめる下死点(ピストンの最下点)より手前で排気バルブが開き、燃焼室内の排気ガスを排出します。上死点(ピストンの最上点)近くまで上昇すると、排気バルブが閉じます。

このように4ストロークエンジンは、シリンダー内を上下往復するピストンと、4つの工程とタイミングを合わせて吸気/排気をすることで、効率よく機能しています。

ちなみに、上記説明では吸気バルブと排気バルブは交互に開いているように感じられるかもしれませんが、これら4工程の間には、開閉のタイミングが重なる瞬間があります。つまり、両バルブとも開いている瞬間があります。どちらかが開いているとき、もう片方が必ず閉まっているということはないのです。
おわりに

エンジンの生み出す動力は、車輪に伝わる前にトランスミッションを経由します。

トランスミッションがどのような役割を持ってるのかは、既にこちらのコラムで紹介しておりますので、気になった方はぜひチェックしてみて下さい。


それでは次の更新をお楽しみに!






オイル上がり?オイル下がり?

2022-04-11
こんにちは。

4月に入りました。
日中はすっかり春の気候ですね。皆さまいかがお過ごしですか。

次はどんなコラムにしようかと考えていましたが、
年度が替わったのでオイルも交換しよう!ということで、エンジンオイルについてお話していこうと思います。

皆さんは、オイル上がり/オイル下がり、という言葉を聞いたことがありますか?


車やバイクを運転されない方にはなかなか馴染みのないワードかもしれません。

これは、どちらも「エンジンオイルが漏れてしまうこと、減ってしまうこと」を指します。

本来入るべきではない燃焼室にエンジンオイルが入り込んでしまうと、爆発時にオイルと混合気(空気と霧状のガソリン)が一緒に燃え、白煙が混じった排気がなされます。

運転していると、前の車のマフラーから白い煙が!なんてことはありませんか?
あれは殆どの場合、水蒸気であり、エンジンに問題はありません。
しかし、焦げたような臭いがするときや、白煙が収まらない場合、オイル上がり/オイル下がりという不具合が起きている可能性があります。



先程、どちらも同じ「エンジンが漏れてしまうこと・減ってしまうことを指す」と説明しましたが、

燃焼室にオイルが混入するルートは、オイル上がりとオイル下がりで異なります。


まずはこの図をご覧ください。
シリンダーの中では、ピストンという装置が往復運動をしています。
燃焼室でガソリンを爆発させる際に発生する「燃料圧力」により、ピストンが押し下げられ、この力が動力となり駆動輪に伝わります。
オイル上がりの原因
ピストンには、「ピストンリング」という炭素鋼やシリコンクロム鋼製のパーツが取り付けられています。
このピストンリングとエンジンオイルが、上下に動くピストンとシリンダー間のクッションの役割を果たしています。

しかし金属の摩耗や損傷などで隙間ができると、エンジンオイルが漏れ、ピストンの下から燃焼室にオイルが入ってしまいます。
燃焼室でエンジンオイルと混合気が一緒に燃えることで、マフラーから白煙が混じった排気がなされます。

エンジンの回転数をあげる(=加速する)ときに白煙が出る場合は、オイル上がりの可能性が高いです。
オイル下がりの原因
バルブには「吸気バルブ」と「排気バルブ」の2種類があります。
これらは、カムシャフトに押し込まれると弁が開く仕組みです。

吸気バルブは、吸気ポートに配置されており、混合気(空気と霧状のガソリン)を燃焼室内に送り込む役割を持っています。
混合気である理由は、ガソリンと空気が混ざっていると効率よく燃焼が行われるからです。

一方、排気バルブは排気ポートに配置されており、シリンダーで燃焼されたガスを排気管に排出する弁の役割を担っています。
この際、金属摩擦によるバルブの劣化を緩和するために使われているのがバルブ(ステム)シールです。

イラストの青い部分、バルブシールは常にオイルと触れあっています。
このバルブシールの劣化により、カムシャフトや吸気/排気バルブから漏れたオイルが、燃料室に落ちていきます。
そしてオイル上がりと同様に、燃焼室でエンジンオイルと混合気が一緒に燃えることで、マフラーから白煙の混じった排気がなされます。

減速時やエンジン始動時に白煙が出る場合は、オイル下がりの可能性が高いです。


ピストン、バルブ共に接触部の摩擦や焼き付きを防ぐために、エンジンオイルは必要です。
しかし、燃焼室にオイルが侵入してしまうと、トラブルの原因となります。
潤滑性を確保しながらも安全性を守るためには、ピストンリングとバルブシールが最大限機能することが求められます。
対策
一番最初のコラムで説明している通り、エンジンオイルには「潤滑」機能が求められます。


しかしエンジンオイルの量が適正でない状態で車を走らせてしまうと、摩擦によってエンジンは大きなダメージを受けることになります。
エンジンを守るポイントは、大きく分けて4つです。


・オイル残量の確認
1ヶ月に1回は、オイルゲージを引っ張り、オイルの残量を確認してください。しっかりと目視確認することが大事です。

・定期的な走行
週に1回、30分程度車を走らせることを推奨します。
バルブシールはゴム製です。走行により熱を伝えられ、ゴムの柔軟性を維持できます。

・エンジンオイルの粘度変更変更
0W-30を使っている方なら、5W-30など、粘度をあげると安定することもあります。
隙間から漏れないように固くすると、吸気/排気バルブからも吸いづらくなりますね。

・添加剤で性能強化
エンジンオイルに添加剤を混ぜて使用することで、燃費を向上させたり、エンジン性能を強化できます。
弊社でもエンジンオイル強化剤を取り扱っています。


オイル管理を少し怠ったとしても、エンジンや車がすぐに不調になるわけではありません。
反対に、添加剤を足しても改善されないこともあります。パーツが破損してしまったり、劣化して、物理的に交換しなくてはならないケースもあります。

必ずしもこれが正解!ということは無いのですが、大切な愛車と長く付き合っていくには
定期的にメンテナンスを行い、適切なタイミングでオイルを交換をすることがとても重要です。

新年度・新生活がスタートし、お持ちの物をアップデートされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近車のメンテナンスをしてないなぁ、という方は、GW前にぜひお手入れしてみてくださいね。



リユースオイルとは

2022-03-22
前回の続き
(4)再生の方法と手順について

▼再生復元方法の指針づくり
劣化油は新油に比べて前記(3)の様に変化してきております。
そこで、再生工程に入る前に物理的・化学的分析を行いその本質を調べ、これにもとづいて再生復元の仕方の方針を定める必要があります。

▼再生復元の具体的な方法及び効果
① 脱水+ろ過処理(ろ過助剤併用)
ろ過処理では、油の添加剤にほとんど影響を与えず、油中の酸化劣化を促進させる媒体(金属粉・水分等)を取り除きます。これにより、現在使用されている油の劣化速度を抑制します。

② 脱水+白土処理ろ過
油中の酸化劣化を促進させる媒体(金属粉・水分等)と酸化劣化物(ガム状物質及びその中間体)を取り除くことにより、油性が向上し、抗乳化度の改善、全酸価(酸化劣化物)の低減、色相の改善、並びに酸化安定度(RBOT)においては20%ほどの向上がなされます。
これにより、現在使用されている油の劣化程度の改善がなされます。

③ 再添加
①②の処理後、更に新油並の状態にして油を使用される場合には、粘度調整あるいは各添加剤(極圧剤・油性向上剤・錆止め剤・金属不活性剤・抗乳化剤・酸化防止剤・泡消剤等)を添加することにより、様々な性能の向上及び泡立ち抑制等が可能となります。
上記の①②の処理では回復出来ない項目を補う為に、再添加して油を復元させる効果があります。

④ 化学処理
必要に応じて酸処理及びアルカリ処理を行います。処理後の副産物(硫酸ピッチ等)の産業廃棄物が生成されるため、今日ではあまり行われない工程です。

▼処理前に対する処理後の項目別効果
(油種別の比較は(5)を参照のこと)

▼潤滑油添加剤の一般的用途

◎ 必ず添加されるもの

〇 通常添加されるもの  

△ 場合により添加されるもの



(5)再生工程における性状の推移及び要求規格との対比

(6)再生復元油の観察と評価


白土処理工程までの目的は、脱水、夾雑物除去、抗乳化度(水分離性)の回復です。

上記の結果より、目的が達成されたことが明確です。


特に抗乳化度の回復は、白土処理を行うことにより向上します。ろ過のみの場合より効果ありです。

また添加剤の劣化や消耗も、ろ過処理では回復いたしません。したがって、極圧剤や酸化防止剤、泡消剤等を油に再添加します。


再添加を行うことにより、四球試験、RBOT、泡立ち性能等の回復がなされます。


上記の結果からもはっきりとした差が出ておりますが、再添加を行うことは、結果的に使用油を新油と同程度まで回復させ、オイル寿命を延長させます。



再生復元のメリットは、コストダウンにも直結致します。それは、元来廃棄されているはずの使用済みオイルが極めて安価な再生費用でもう一度使用できるという事です。


この事からも、劣化潤滑油の復元利用の意味は大変大きいといえます。

また、使用済みオイルを再生しもう一度使用する意識が生まれ、使用者側の一歩進む潤滑管理レベルとなります。


現代は、企業も環境に対する配慮を行うことが自主的にかつ包括的に行われる時代です。


潤滑油の再生は目の前に存在する様々な環境問題を解決するため有力な策の1つです。


今後、弊社の活動がその一助となる様に努力して参ります。    





リユースオイルとは

2022-03-07
はじめに
令和2年の「2050年カーボンニュートラル宣言」が、各分野で脱炭素化の取組みを加速させました。
また令和3年の「地球温暖化対策計画」では、廃油などの焼却に伴うCO2削減が定められました。

今日、環境問題に対する法律や規制も形を変えながら増え、多くの企業が環境問題を抱えております。
「環境」はどの企業にとってもメインテーマになりました。 
このような状況下での潤滑油業界の課題は、使用された潤滑油のほとんどが廃油焼却され、温室効果ガスの排出源の1つになっていることです。

私達新日本油脂工業は、サーマルリサイクルにおける廃油焼却によるCO2排出を、使用油の再生利用(リユース)を促進させる取組みで削減できると考えています。
再生復元の方法について

(1)再生可能な工業用潤滑油の種類
 
▼タービン油・油圧作動油
タービン油・油圧作動油には、添加剤を含まない無添加のものと、酸化防止剤・油性向上剤・流動点降下剤・金属不活性剤・防錆剤などを含んだ添加タイプがありますが、いずれも再生可能です。
 
▼不燃性(難燃性)作動油
一般石油系作動油と異なり、これら合成潤滑油タイプのものは、比較的要求性状が過酷で劣化の仕方も複雑ですが、水グリコールタイプ・りん酸エステルタイプを問わず一般に再生可能です。
特に合成タイプは、鉱油タイプと比較して新油の単価が高く、再生のメリットは一段と大きいと考えられます。

またこのタイプの油は、廃油としての処理処分が困難で処理処分費が膨大ですので、使用限界以前の再生を推奨しています。

▼ギヤー油
ギヤー油は、自動車用・工業用を問わずSP系の極圧剤が相当量添加されているのが普通ですが、これら添加剤もベースオイルと共に劣化します。
添加剤の劣化物はスラッジとなり、再生ろ過処理で除去されます。あるいは再添加を行って、劣化分の極圧剤を補うことも可能です。

また、ギヤー油においては、適切な粘度を保有していることが求められるので、再生時に粘度調整も行うことが可能です。
 
▼コンプレッサー油・冷凍機油
これらの油は、密閉系のなかで循環使用されております。

使用油は新油と比較して、水分・摩耗粉及び劣化生成物が含まれておりますが、すべて再生可能です。
ただし、対象となる圧縮ガスの種類が多く、これらのガスが油中に溶解している場合が多いので、再生の際は脱ガスの工程が必要となります。

この工程による二次公害に留意する必要があります。また、ポリブテン等を使用したコンプレッサー油もありますが再生に対しては問題ありません。
 
▼金属加工油
金属加工油には、圧延油・熱処理油・切削油等があります。

これらの使用油には、金属イオン・金属粉・水分・劣化添加剤等が含まれておりますが、いずれも再生・再添加・粘度調整が可能です。



(2)使用油潤滑油の管理と保管

使用油を再生するときは、次の点にご注意下さい。

▼適度な使用限界を守って油を抜き取る
抜き取った劣化油は、極度にその潤滑油の使用限界を超えたものであってはなりません。
疲れきった劣化油の再生は好ましくないからです。
使用限界とはどんな程度であるかについては下記の通りです。
▼異種油の混合を避ける
異種の劣化油が混合されているものは、再生復元が困難です。

▼軽質分、溶剤などの混入を避ける
軽質のベンゾール・ソルベント・トリクレーン・灯油・軽油・重油などの混入や雨水の侵入を避けて下さい。

▼保管容器などを整備し万全を期す
使用油の厳正保管のため、タンクやドラム缶に油名を記してください。

(3)各種使用油の劣化の内容一覧(該当は○印)

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