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    COLUMN

絶縁油

2021-06-01
絶縁油(インシュレーティングオイル)とは
こんにちは。

一か月ぶりの更新となってしまいました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今回は「絶縁油(インシュレーティングオイル)」について説明していきたいと思います。

絶縁油は、変圧器(トランス)、回路遮断器、蓄電器(コンデンサ)安定器等、電気機器の絶縁及び発生熱の冷却を目的とした油の総称です。
変圧器や蓄電器などの機器内は絶縁油で満たされています。
高圧の電線やコイルを絶縁油で包むことで漏電を防いだり、機器内で発生した熱を冷却するため、変電設備には欠かせない役割を担っています。

変圧器(トランス)油
変圧器とは文字の通り、電圧を変える(変圧する)機器です。
変圧器に用いられる変圧器油は、一般の潤滑油とは異なり長期間(~数十年)にわたり使用できます。

要求性能は、電気特性(絶縁破壊電圧等)、酸化安定性、低温流動性等に優れていることです。

かつては流動点の低いナフテン系原油からのみ製造されていましたが、今では製造技術の進展により、鉱油系ではパラフィン系原油からも製造可能になりました。
鉱油系以外ではシリコン油、アルキルベンゼン等の合成油も使用しています。

電気特性の維持のため保守管理が重要になってきます。
絶縁油とPCB
変圧器や蓄電器に含まれている絶縁油には「PCB」が含まれている可能性があります。

PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた油状の液体(化学物質)です。
電気絶縁性が高く、熱で分解しにくい、不燃性、 水に溶けにくく沸点が高い、など化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油・熱交換器の熱媒体等様々な用途で利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

PCBの持つ「脂肪に溶けやすい」という性質が慢性的な摂取により体内への蓄積を招き、長期間にわたって重大な症状を引き起こすことが報告されたからです。

PCBが大きく取りあげられる契機となった事件として、1968年(昭和43年)に発生したカネミ油症事件があります。
これは、米ぬか油の製造中、脱臭工程の熱媒体として使用されていたPCBが混入し、その米ぬか油を摂取した人々や胎児にまで健康被害を発生させた食中毒事件です。

都道府県知事による認定患者(死亡者含む)は累計で2322人でしたが、50年前には健康被害を訴えていた人が1万4320人にのぼりました。

カネミ油症の症状は、吹出物、腫れ、色素沈着、目やになどの皮膚異常や、全身倦怠感、しびれ、食欲不振など様々です。
現在もその後遺症に悩まされている人が大勢います。

カネミ油症事件にて人体に有毒であることが判明して以降、日本では法律でPCBの処理方法も明確に規定されました。
PCBが使用された代表的な電気機器
昭和28年(1953年)から昭和47年(1972年)に国内で製造された変圧器・蓄電器には絶縁油にPCBが使用されたものがあります。
高濃度のPCBを含有する変圧器・蓄電器等は、機器に取り付けられた銘板を確認することで判別できます。
詳細は各メーカーに問い合わせるか、(一社)日本電機工業会のホームページを参照してください。

数万件に及ぶ測定例から、
国内メーカーが平成2年(1990年)頃までに製造した電気機器には、PCB汚染の可能性があることが知られています。
絶縁油の入替ができない蓄電器では、平成3年(1991年)以降に製造されたものPCB汚染の可能性はないとされています。

一方、変圧器のように絶縁油に係るメンテナンスを行うことができる電気機器では、
平成6年(1994年)以降に出荷された機器であって、絶縁油の入替や絶縁油に係るメンテナンスが行われていないことが確認できればPCB汚染の可能性はないとされています。

したがって、まず電気機器に取り付けられた銘板に記載された製造年とメンテナンスの実施履歴等を確認することでPCB汚染の可能性を確認し、さらに上記の製造年よりも前に製造された電気機器については、実際に電気機器から絶縁油を採取してPCB濃度を測定してPCB汚染の有無を判別します。

ただし、コンデンサーのように封じ切りの機器では使用中のものを絶縁油の採取のために穿孔すると使用できなくなるのでご注意ください。

(参照:ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト)

*変圧器・蓄電器に含まれている絶縁油を処分する際は、PCBが含まれていないか必ず確認してください。
詳しくはこちら
新日本油脂の絶縁油
JIS C2320 の1種2号 、1種4号に合格した優れた絶縁油と言えます。
一般地、寒冷地の変圧器、遮断機に広く使われています。
厳選された原油から高度の品質管理のもとで作られた鉱物油100%の油で、その特長は次の通りです。

1)絶縁破壊電圧が高く、優れた絶縁耐力を持っている
2)酸化安定に優れており、スラッジの生成が少なく、長時間安定した性能を維持する
3)冷却性能が良く、発生熱を速やかに取り去る
4)低温流動性に優れており、低温時の取扱いが容易である

弊社製造のインシュレーティングオイルも、不含証明を発行できます。
お問い合わせフォームより、ロット番号を明記の上お問い合わせください。



以上、今回は絶縁油についてお話しました。

お使いの潤滑油について、互換性やSDS等少しでも「?」となることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
お取引や購入方法も、お問い合わせフォームより承っております。

それでは今回はこの辺りで。




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