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電気が届く仕組み

2021-06-22
前回の続き
こんにちは。

前回の絶縁油の説明中に、少しだけ変圧器油について触れました。
今回はその変圧器油の入れ物である「変圧器」に、どのように電気が届くのか一緒に見て行きましょう。

さて、早速ですが質問です。

1,変圧器とは何でしょう
2,私たちが日常的に使っている電気は何ボルトでしょう
3,それはどうやって作られるでしょう

1は前回のおさらいですね。

私達が日常使っているコンセントの電圧は100Vがほとんどです。
沢山エアコン等を稼働する施設や商店では200Vを使っている所もあります。
差があるのは、単に一定量の電気を届けているのではなく、場所や用途に応じて適切に電圧を調整しながら送電しているからです。

電気は発電所で作られたのち、変電所・送電線・配電線などを通り、皆さんのご家庭へ送られています。

これらの電気がどのような経路でどのように電圧を変えて私たちの元へ届くか一緒に見て行きましょう。
①まず発電所で電気を作ります。

発電所は、原子力や火力など電気以外のエネルギーを電気エネルギーへと変換する場所です。

発電所で発電される電気は、普通1~2万Vです。
そのため発電所内に設けてある「 発電端変電 設備 」で15万V以上に電圧を上げます。
27.5万V~50万Vの超高電圧に変電したのち、送電線にて超高圧変電所へ送り出されます。

②27.5万Vと50万Vの電気を扱う超高圧変電所で15.4万Vに変電し、一次変電所に送電します。

変電所は、発電所で生み出された電気の電圧を変換する場所です。

③一次変電所から6.6万Vを中間変電所に送電します。

④中間変電所から配電用変電所に2.2万V送電します。

⑤配電用変電所から変圧器(電柱)に6600V配電します。

配電用変電所は、変電所から送られてきた高電圧の電気を、低電圧の電気に変換し、各エリアの配電線に供給する場所です。

⑥最後、電柱に取り付けられた柱上変圧器で100Vか200Vまで電圧を下げたものが、私たちの家庭に配電されます。

柱上変圧器は、配電用変電所から送られてきた電気を、一般家庭用に100Vまたは200Vまで引き下げる機器です。



変電設備と送電塔
変電設備


ここで一つ、疑問が生まれた方がいるのではないでしょうか。

「なぜ『超高圧変電所』で15.4万Vに変電させるのに、わざわざ発電所内で50万Vと高い電圧に変電する必要があるのか」

これは、送電中のロスを少なくするためです。

電気は、使わない分をタンクに貯めておくことができず、24時間365日休むことなく発電・送電されています。
発電するのは家のすぐ側の施設や機械ではありません。
ご存知の通り、すごく遠くにある原子力や火力などの発電所です。

どのエネルギーにも「ロス」が存在していますよね。
電気も同様で、発電から配電までの距離が遠くなればなるほど、発生するロスも増えます。

送電線や電気機器など電気の通り道には抵抗があり、電流が流れると熱が発生します。
いわゆるジュール熱ですね。

せっかく発電した電気も、ジュール熱が発生した分だけロスすることになります。
逆に言うと、電流を少なくすればロスがも減るわけです。

電力(W)=電圧(V)×電流(A)

この式から分かる通り、同じ電力の場合電圧と電流は反比例します。
したがって、電流を少なくして送電中のロスを減らすには、電圧を高くする必要があります。




このようにして、1~2万Vで生まれ50万で送られた電圧が、変圧器で100Vに変換され家庭に届きます。

大きな電圧が常に変圧器内を流れるため、ショートしないよう絶縁油(=今回は変圧器油)が中を満たしている、というわけです。

次回は変圧器の構造についてお話予定です。
お楽しみに!




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